文=東アジア問題研究者 劉檸
新聞雑誌部数公査機構・日本ABC協会が公開した統計データによると、東日本大震災の影響を受け、新聞各紙の販売部数落ち込みが目立つことが明らかになった。
昨年のことであるが、私が執筆した「落ち込む日本の大手新聞」を題名とするコラムの中で、雨後の筍のように新たなメディアが次から次へと登場する現在では、新聞業界はすでに斜陽産業となっているが、だからといって大規模なリストラを実施したり、低賃金・長時間労働を強制したりすることがあってはならないと論述している。当然ながら、新聞業は危機感を抱く必要がないとか、事業転換をする必要がないという意味で言ったのではない。実際、2010年は、日本の新聞業界が画期的な転換をはかり、弱肉強食の時代に突入した年であった。
◆新聞の衰退が本格的に
これまで新聞のライバルといえばテレビであった。だが、そのテレビですらも、今ではインターネットなどのニューメディアという強大なライバルの台頭に対し、苦境に立たされている。スマートフォンの普及、高機能かつ使い勝手のいい電子ブックリーダーの登場に伴い、売店の新聞スタンドで新聞紙を買う人は急速に減ってきている。そこに足を向けたとしても、それは決して新聞紙を買うためではなく、携帯電話の充電をするための人がほとんどだ。
このような状況において、新聞紙の落ち込みは確実に進んでいる。発行部数、広告収入ともに右肩下がり状態が続いている。専門家の予測によると、この現状のまま、衰退の波が一定に続くと仮定した場合、日本の5大全国紙の販売部数が今の半分にまで減少するのに必要とする年数は、朝日新聞が11年、読売新聞が25年、日経新聞が15年、毎日新聞が22年、産経新聞が7年とされている。長い歴史も持ち、折り目正しく、確かな品質を保持してきた大手新聞社らにとって、生き残りを賭けた戦いが始まっているのである。
◆今後、誰が新聞の購読者になり得るか?