日本の企業朝日緑源が山東省莱陽に100ヘクタールの土地を借りて農業と牛の飼育をしている。農薬も化学肥料もまかない。そこらじゅう草が茫々に茂り、生産量は近隣の農家の半分にも満たない。長年赤字続きで、地元の農家の笑いの種となっている。
この山東省莱陽で農業を営む日本企業はこれまで儲けを出していない。肥料をまいたり、除草すれば収穫量が上がるのに、彼らはあえてそれをしない。農家の目には、この日本企業が当然おかしく映る。
しかし別の角度から見ると、日本人がバカではないことに気づく。彼らには彼らなりの道理がある。同社の前島啓二副社長は、「日本では昔から、“種をまく前に土をつくる。土をつくる前に人をつくる”といわれてきた。昔の人は土の質を一番大切にした。莱陽の土地は肥沃だが、化学肥料や農薬を長年使い続けたことで、土地が退化している。最初の数年は土壌回復に力を入れる」と話す。