短い日程ではあるが、半年ぶりに日本に帰国した。今年3月に発生した東日本大震災から約半年経っている。たった半年で、東京は大きく変わっていた。
この度、帰省先の東京で私を待っていたのは、「日本国民の自信の喪失」が漂う街の空気だった。3月に発生した大地震、津波、そしてそれに伴う原発事故。二重三重にも日本を襲う未曾有の事件に大きな打撃を受けた日本国民は従来の自信をすっかり失っている。また、震災後の再建へ向けた政府の無能無策ぶりに国民からの不満は高まる一方だ。
今、日本の書店で飛ぶように売れている「日本中枢の崩壊」の著者・古賀茂明氏は、原発事故と切っても切れない関係にある経済産業省の大臣官房付という現役のキャリア官僚である。そのため「日本中枢の崩壊」には日本の中枢を担う中央官庁が崩壊してゆく現状が全て白日の下にさらされている。「なぜこの本がベストセラーとなり得たのか?」との質問に対し、古賀氏は以下のように回答している:「3月の大地震発生後、国が崩壊する日が迫っていると感じる国民が多くなった。だが、実際には、自然災害だけが日本を崩壊させるのではない。官僚機構の病弊という人的要因が国の崩壊速度を速めている。こうした事実を一般大衆に理解できるように示していることが、この本がよく売れている理由だと思う」と。