野田佳彦首相は派手でなく、泥くさく、粘り強く、着実な、金魚のように人から鑑賞されるだけではない「どじょうの政治」を目指すという。だが野田氏の「どじょうの政治」が現実的に効果を発揮するかはまた別問題だ。なぜなら彼の前には多くの難題が横たわっており、感情をあおる演説と「どじょう」のような粘り強さだけでは必ず壁にぶつかる。
◇経済だけをとっても、内憂外患の局面に立つ野田首相
野田首相が真っ先に直面する政策課題は今年度の3次補正予算案の編成だ。主に震災後の復興と被災地の企業再生を支援するのに活用される。財源を解決するには、増税は避けられない。だが日本の政治家にとって増税は「鬼門」だ。国内経済がマイナス成長する状況で増税に踏み切れば、経済成長と国民生活に影響し、国民から強い反発を買う。
次に、電力不足が日本の経済成長の障碍となっている。福島第一原発で放射能漏えい事故が起きた後、浜岡原発の運転を停止、定期点検後、地元住民の反対により再開できなくなった。日本の今年の電力不足は企業の生産に大きな影響を与えている。原発政策について、野田首相は「安定性を確認後、原子力発電を利用し、電力供給を確保する」と主張。目下の緊急課題は定期点検後の原発の再稼動だ。しかしアナリストは、「原子力発電に対する不安が強まる中、野田氏は原子力発電を利用して電力供給確保するため、定期点検後に原発を再稼動しようとしているが、今後必然的に多くの課題に直面するだろう」と指摘する。
また、財政再建、長期的な経済成長戦略も解決が難しい問題だ。
外部のリスクをみると、米国経済の低迷、欧州の債務危機が日本企業の輸出に影響を与え、輸出によって経済回復を支えていた日本経済に暗い影を落としているほか、ドル安・ユーロ安によって円高が続いており、日本の輸出企業への影響はかなり深刻だ。野田首相は外国為替市場への介入を主張したものの、日本一国だけが介入しても何の効果もないことを証明する結果となった。他の国と協力しようとしても、米国などは本国の通貨価値が下がるのを望んでいるため、なかなか日本の思い通りにはいかない。円高を阻止するため野田政権が有効な手段を講じるのは難しい。このままでは日本企業は海外に移転し、国内産業の空洞化が進み、経済の活力をさらに失うことになる。
日本に存在する問題の多くは制度的、構造的、国際的な問題だ。これらの問題の前では個人の力はあまりに小さく、日本の首相はその悪循環から逃れられない。就任当初は支持率が高いが、法案が成立しなかったり、経済政策に効果がなかったり、選挙で失敗したりすると、国民はすぐに見方を変え、指導力がないとみなされる。そうして政権がコロコロ変わることになる。野田首相はこの悪循環から脱却できるか?日本のメディアは新首相を「過渡期の首相」とみている。来年、小沢一郎氏、前原誠司氏がその座に就こうと狙っている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年9月1日