伝えられている物語も違う。中国人にとって中秋節のロマンチックな物語といえば、嫦娥奔月(嫦娥、月をかける)だが、日本には嫦娥奔月も、呉剛伐桂(呉剛、桂の樹を伐る)も、玉兎搗薬(玉兎、薬を搗く)の物語もない。明治維新前、日本は漢文化を尊んでいたので、中国の「嫦娥、月をかける」に類似した話は残っている。だが、日本版の「嫦娥、月をかける」は「かぐや姫」に変わり、「竹取物語」の伝説から来ている。物語では八月十五日の夜、きんもくせいの香る月夜の晩、かぐや姫は月から人々を眺めているという。明治維新後、日本の国策は根本的に変わり、政府は西洋学を提唱し、西洋暦を使用するようになった。これによって農暦で数えなければならない伝統的節句の栗名月(中秋節)は忘れられていった。だが、日本人の栗名月は今も中国の農暦で数えられている。明治維新後、栗名月のかぐや姫伝説は徐々に薄れていき、現在の日本人でかぐや姫の物語を持ち出すものは少なくなった。現在、栗名月に関する物語は白兎が月で餅つきをしていることくらいだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年9月11日