日本料理は、素材そのものの味を生かすことへのこだわりが表れた料理だとされている。逆に、中華料理はその調理の技法にこだわる。平凡ないくつかの食材を、巧妙な調理法で美味しい料理に仕立て上げることを追求する。だが、日本人が追求するのは食材の新鮮度であり、それをどのように加工しているかはあまり重要視されない。というよりも、食材に手を加えれば加えるほど、素材が持つ本来の旨味が損なわれる、という認識が日本人にあるのかもしれない。日本人は素材本来の味にひそむ美味しさを堪能したいと思っているのだ。
食卓にずらっと並べた韓国料理は見た目麗しい。食べる頃には混じり合ってしまうが、美味である。日本料理は「見て楽しむ料理」として有名である。季節に応じて器を換え、旬の食材を彩りよく盛り付けられた一品はまさに芸術品である。だが、実際食べてみるとそんなに美味しい訳ではない。中国人からすると量が少なすぎるし、味も薄すぎる。日本では、関西地方は濃い目の味付けが好まれ、関東地方は薄目の味付けが好まれるという。
日本料理は禅宗の寺で食された精進料理から発展したものだといわれている。日本料理の中でも特に有名な「懐石料理」は、薄い味付けが特徴とされる、非常に高価な料理である。
もともと懐石料理は京都の寺社で食されていたものだそうだ。修行僧達は、厳しい規律に従い、薄目に味付けられた量の少ない食事を摂らざるを得ない。修行僧達は温めた石を懐に入れ、襲ってくる空腹感を抑えた、と言われることから「懐石」との名称が付けられるようになった。つまり、今では高級料理とされる「懐石料理」は、もともとは食事も満足に出来なかった貧しい修行僧達が食べていたものなのである。日本人の食文化には奇妙な点が沢山ある。食材に手を加えることを嫌がるし、火を通さず生のまま食卓に出すものもある。日本人が好きな刺身はその典型的な一例だと言えよう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年9月17日