いま中国では、日本に関する研究が盛んになっている。研究テーマは「日本はどうして没落したか」。要するに反面教師の材料とするためだ。
私は北京の日系企業で働いている。過去2年間で150人程度の中国人を面接してきたが、優秀な人材に出会うことはまれだった。私たちの会社では直接人材を募集するのではなく、ヘッドハンティング会社を通じて人材を探す。だから私は、担当者に何度も文句を言ったものだ。しかし彼らはため息をつきながらこう言うのだ。「近藤さんが欲しいような人材は、みな欧米企業か中国の大手国有企業に流れてしまいますよ」。
私の学生時代、つまり1980年代には、中国で最も優秀な若者はみな留学生として日本に行き、日本の大学で勉強していたものだった。その頃の中国留学生たちは日本に対して大いなる憧れを抱き、「いつか祖国を日本のように繁栄した国家にしたい」という強い使命感を誰もが持ったものだった。