日本の技術者が中国で研修も!
高度化した技術でニッチな市場を狙う
――日系企業を主要な客先にしない日系企業を、中国ではあまり見かけないが……。
真田 もちろん、われわれも始めは日系企業を客先にして、そこに納品できてから、徐々に市場を切り開いた。
ただ、日系企業だからということで、買ってもらうことはない。われわれは市場のニッチな部分を狙って、我々しか作れない物を作っている。例えば、ニッケル、ジルコニウムなどの非鉄金属を扱う圧力容器や設備は、うちの得意分野で、簡単にまねできるものではない。そのようなものこそ中国では市場が開拓できる。
――もともと岐阜の本社はその技術を持っていたのか。
真田 日本の本社はいろいろな技術を持っているが、中国に出ると、新しい技術なども開発しなければならない。ここでは設計がとても重要となっている。2011年11月にグループ内では南通工場が稼働するが、ここでは研究開発のスタッフは50人、設計のスタッフは100人もいる。高度な設計技術を持っているので、中国市場のニーズにうまく対応できた。
――設計から製造まで、フルセットでやっているというのが特徴か。
真田 研究開発から製造、販売まで一貫した生産販売体制を築いていこうと、中国で会社を設立してから、ずっとそうやってきた。
――生産量や従業員の数など岐阜の本社より大きくなると、技術の逆転現象は出ていないだろうか。
真田 森松グループ3600人超の従業員のうち、2000人あまりは溶接関連の仕事をしている。溶接技術などは、たくさん仕事をすれば高度化していく。むしろ日本の技術者が中国に来て研修を積んでいる。反対に、中国人の技術者に日本企業の経営の仕方、物事の考え方などを知ってもらうために、日本に送り込んでいる。