ここでハイアールと三洋ブランドの利害が一致したということですね。「低品質・超低価格」から「低~中品質・低価格」にシフトしてきてしまったハイアールと、「中~高品質・高価格」で長年ポジションの足元が不安定になっていた三洋ブランドが組み合わさり、「中~高品質・低価格」を狙っていくことが理想型として描かれているのだと思います。
昨日のアナウンスによって、日本国内でついにこの「理想型」の市場ポジションへのスタート合図がなされました。実際には全てのハイアールが三洋ブランドに変わるということではなく、本当の意味で三洋の技術水準を持ったいくつかの製品(ブランド名という無形資産だけの移管ではなくて、製造チーム・社員そのものの移動があったいくつかの製品カテゴリー)を除いてはハイアールブランドのままであるので、いわゆる「様子見」の第一歩であると思いますが、まずは、興味深いハイアールのチャレンジだと思います。
中国資本によって、工場の所在によらず日本の職人気質の宿った製品が、日本で培われたブランドとして市場に投入される。純粋な日本製・日本ブランド(中国技術製品なのにブランドだけ日本ラベルに張替えをしたものではない、ということ。)であるものだが、資本が中国資本であるという事実。
果たして、「資本に色は無いのか?」(≒資本の国籍が、ブランド力に影響してしまうのか?)という問に対して、マーケットの判断が気になるところであります。
(中川幸司 アジア経営戦略研究所上席コンサルティング研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年10月22日