「兵を派遣する前に、目標を達成した」。10月中旬、米大統領がホワイトハウスのローズガーデンでリビア戦争に関するスピーチを行った際に興奮しながら述べた言葉だ。国際テロ組織「アルカイダ」の指導者ウサマ・ビンラディンの射殺から、「アルカイダ」の2番目の指導者アンワー・アル・アウラキの殺害、「砂漠の狂犬」カダフィ大佐の殺害まで、米国は半年の間に少ない代償で「目の上のこぶ」を取り除いただけでなく、他国に武力介入する「巧みな戦略」の実験にも成功した。
「巧みな戦略」とは、米国が再び勇敢に突進する必要がなく、第一線から退き、他の盟国に最前線を行かせることだ。米軍は同盟軍の顧問になったり情報を提供したりし、戦術面では特殊行動や空対地行動を中心とした控えめな介入を行うだけだ。「うまく勝利を収める」ことで、死傷者を最小限に抑えることができる。
軍事専門家は、3つの勝利によって、米国は「巧みな戦略」を容易にできるようになり、このような新たな手段をそのほかの地域問題の解決に用いる可能性もあると見ている。
アフガニスタン、イラク、リビアという3つの大きな武力闘争が終わり、米国は戦略の重点をアジアに戻す動きを加速し、中国の発展をアジア太平洋地域での覇権獲得の大きな障害と見るようになっている。現状から言って、両国が直接交戦する可能性は極めて低いが、摩擦は避けられない。米国は「巧みな戦略」の実施手段を変える可能性が高く、中国との直接的な衝突を避けながらも、中国と矛盾・争いのある国や中国との対立を背後で操作し、中国の成長と外交を阻止することを企んでいると見られる。その中で、日本は非常に重要な役割を果たすだろう。