「韓国でも、朝鮮でも、僕は日本人に見られるが、日本では、そこで生まれ生活しているのに、それなりの待遇と尊重を受けてこなかった。故郷はたくさんあるが、どこも僕の家じゃない」。
――日本で16年間民族教育を受けてきたコリアン、鄭大世は自らの困惑についてこう語っている。
「すぐに自分の感情を表に出し、たまに映画を観たり、試合に勝ってなくこともあります。もちろん試合に負けても」。「人民のルーニー」と呼ばれる朝鮮のフォワード・鄭大世(チョン・テセ)選手が去年南アフリカで行われたW杯で涙を流して有名になった後の取材でこう答えた。
日本で最近彼の苦悩とサッカー人生を追ったドキュメンタリーが撮影。このドキュメンタリー映画「TESE」は日本の川崎市で初公開、12月19日まで上映される。来年1月に日本で正式に公開予定。
◇在日コリアン監督
同映画は在日コリアンの姜成明(カン・ソンミョン)監督が、鄭大世選手の日本で生まれ育って、Jリーグで活躍し、朝鮮代表としてW杯出場した経緯を記録した。「このドキュメンタリー映画はナレーションによる解説ではなく、鄭大世の日常の言葉や行動、彼の身近な人の彼に対する評価を通じて偽りのない鄭大世を記録したい」というのが監督の思い。
姜成明監督はドキュメンタリー映画撮影のきっかけについて、「08年4月、友人の招待でJリーグの試合観戦に行きました。激しくボールの奪い合いをする鄭大世の姿に心を打たれ、彼のドキュメンタリーを撮りたいと思いました。彼は日本社会で葛藤する多くのコリアンの最もいい代表だからです」と語っている。
この映画は08年春から撮影開始、撮影班は日本、朝鮮、韓国、南アフリカ、ドイツ、ベトナムの6カ国で取材を行った。「自分の目標を実現するために、鄭大世が歩みを止めたことはない。日本で育った朝鮮チームの選手だったため、あまりに大きい期待を背負い、彼は自分の考えを捨てざるを得なかった」と姜監督は語る。
◇「孤独感」を吐露する鄭大世