11月12日、東京電力の福島第一原発が報道陣に公開された。東京電力が原発敷地内で報道陣の取材に応じたのは事故発生後初めてとなる。(写真)
東京電力株式会社が2日に公表した福島原子力事故調査報告書(中間報告書)には現場作業員の証言が初公開されている。地震と津波が同原発を襲った際、復旧作業に追われた現場の様子や作業員の行動が詳細に記載されている。
「ここに残ってくれ」と懇願
報告書の添付資料の中で、中央制御室にいた作業員らの事故当時の様子が語られている。
中央制御室の責任者は、「室内のランプが点滅を始めたかと思うと、一斉に消灯し、暗闇に包まれた。運転員数名が『海水が流れ込んできている!』と大声で叫びながら中央制御室に駆け込んできて、私はようやく津波の襲来を知った」と語っている。
この責任者は「制御室が停電し、何もできなくなったと感じた。作業員の中には、不安に駆られ一刻も早くここを離れようという者もいた。ある作業員から『操作もできず、手も足も出ないのに、われわれがここにいる意味があるのか』と不満の声が噴出した。私は頭を下げ『ここに残ってくれ』と懇願するしかなかった」と語っている。
ある作業員は、「最初の動揺が少しずつ収まると、我々は電源を復旧させようと死に物狂いでケーブルの敷設作業に当たった」と述べており、「通常であれば、ケーブルの敷設作業は、1~2か月を要するが、数時間で(一区間を)やり遂げた」と語っている。