長期にわたる交渉を経て、日米両政府はついに『日米地位協定』の運用を見直すことで合意した。同協定によると、在日米軍の軍人や軍属が公的行事で飲酒運転し事故を起こした場合、日本側で裁判が行える。これに基き、日本は在日米軍兵士2人を処分した。
横浜地方裁判所は11月24日、傷害致死罪に問われたロバート・ノーラン元在日米海軍司令部統合人事部副部長に有罪判決を下した。ノーラン被告は2006年、米海軍横須賀基地の向かいにあるバーで70歳男性・中川勝美さんを押し倒して死亡させた。裁判所はノーラン被告に1370万円の支払いを命じたが、日本政府への賠償請求は棄却。11月25日、沖縄の那覇地方検察庁はルーフェイス・ラムジー3世被告(24歳)を自動車運転過失致死罪で起訴した。
2つの判例は小さいが、代表的な意味があると言える。これまで、在日米軍兵士は「絶対的特権」を持っていた。交通事故にしても傷害事件にしても、婦女暴行でさえ、軍事基地に隠れていれば事態を小さくすることができた。改定前の『日米地位協定』では、米軍兵士が公務中に起こした犯罪については米国側が裁判を行い、公務外における違法行為については日本側が裁判を行うことになっていた。ところが、米軍兵士が公務外に犯罪を起こしても心配の必要はなかった。米軍基地が「公務証明書」を発行すれば公務中に起きたことになり、日本側に事件に関わった者を処分する権利はなくなる。日本の法務省がまとめた統計によると、2006年9月から2010年12月までに米軍兵士・軍属が公務中に起こした交通事故は62件に上るが、そのうち米国側の行政処分を受けたのは35人で、残りの27人は何の処分も受けていない。そのため、日本側が在日米軍兵士の裁判を行えるようになれば、それは非常に大きな進歩と言える。