野田首相のクリスマス訪中の旅は、中国世論には楽観視されなかったようだ。ただ、中国国債を購入する考えを示したことは、喜ぶべきだろう。中国が日本国債を購入し始めたのは05年から。日本がいま「リターン」することで、国際市場そのものに大きなダメージを与える、とくに第3者の米国が、中日の金融面での協力を座視することがないのは必定だ。
衆知のごとく、日本は金融の嵐や欧州の債務危機でかなりの影響を被りながら、米国の信用力が低下する中、資産縮小の危険にもさらされている。中国市場を見ると、中日貿易では60%が米ドルによる決算。在中日本企業の為替リスクは非常に高く、米ドルによる「仲介作用」は実質的には日本企業の資産を消耗させており、人民元による決算が実際には日本の利益を擁護している。財務相を経験した野田首相はこのことを非常に理解しているからこそ、中国の国債購入については、「その核心は貿易にあり」、決して衝動的なものではないのだ。
人民元について言えば、これが国際化の加速に向けた重大の突破口となるのは明白だ。日本は米国の「同盟国」という特別な関係にあることから、米国債の購入は一定の義務だとは言え、緊密さを増す中日の金融面での協力は米国には気がかりことだろう。だが、いずれにしても、米ドルが覇権を握っている中、ほとんどすべての国は米ドルの所有を強いられていながら、その依存から脱け出そうとは考えていない。かつて米国の最大の債権国であった日本、現在の最大の債権国である中国はともに国債を購入することで、どれほど米ドルの「仲介作用」を排除できるのか、政策に追随する国はどれほどいるのか試みようとしている。