加藤佳美
中国のモンゴル族と一緒に、モンゴル式の春節を過ごした。彼らの新年の過ごし方は他の民族と大きく異なる。
新年は大晦日の朝に始まり、まず、「手扒肉(ショウバーロウ)」を食べる。羊、豚、牛などの肉をやわらかく煮込んで塩で味をつけた料理で、ナイフで切りながら食べる。客をもてなしたり、めでたい席に欠かせないごちそうである。それと一緒に、アルコール度数の高い「白酒」を飲む。朝から肉料理と強い酒など、他の民族にとっては考えられない「ごちそう」だ。
除夜の食事は特に決まっていないが、たいていは「手扒肉」の残りを食べ、やはり白酒を飲む。慣れない人は、年を越す前に「もう肉も酒も見たくない」という状態になるだろう。
年が明けると、年長者に頭を下げて新年の挨拶をする。年長者はこの時、縁起のよい言葉を発して新年の幸福を祈る。
初一(旧暦1月1日)の朝は餃子を食べる。具は家庭によって様々だが、最もポピュラーなのは酸菜(酸っぱく漬けた白菜)と羊肉の具である。水餃子より、蒸し餃子にすることが多い。酸菜は自分で漬けたもので、餃子の皮も自分でこねて作る。小麦粉で作ることもあるが、最も伝統的なのはそば粉で作った皮だ。皮から具まですべてを自分で作る餃子は、やはり市販のものよりずっとおいしい。
最近は普段から食べたいものを自由に口にすることができ、「新年の楽しみは以前ほどでない」と話す人も多いが、民族独特のこのような伝統的な風習が今後もずっと受け継がれていくことを願っている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年1月29日