以前もこのブログにて、クリスマスやバレンタインデー、日本の恵方巻き、そして中国の中秋節(月餅)の「商業化」を書きましたが、このように商業化という手段を通じると異なる文化圏からの文化輸入が比較的短時間で達成されるようになります。
実際の所、2000年前半までは、バレンタインデーチョコレートキャンペーンのようなイベントは中国ではほとんどなされていませんでしたし、また10年ほど前までは、中国ではチョコレートは比較的高級というイメージが強かったように思います。当時、僕がプレゼントをお贈りする時に、「こんな高価なものをありがとうございます」といわれることが最も多かったのはチョコレートでした。それが、この5年近くでだいぶ多くの輸入チョコレートも中国市場に入るようになり、また輸入ではなく、中国生産かつ中国販売する企業(中国資本だけでなく、日本勢もだいぶ検討しています)も勢力的に流通チャネルを増やしてきました。この流れは、次の5年間でさらに拡大し、さらに中国内でチョコレート食は文化的に定着していくことになると思います。いくつかの分析にて異なる報告がなされていますが、チョコレートは中国で毎年10~15%の需要拡大をしており、現在200億元市場とのことです。
さて、ここでふと思いましたが、もし中国でのチョコレートの消費量がさらに格段に増えたらどうなるのだろうということでした。日本チョコレート・ココア協会(http://www.chocolate-cocoa.com/)からの資料によれば、国民一人あたり消費量国際比較ではルーマニア15キロ、ドイツ11キロ、イギリス11キロなどが続きまして、日本は2キロほどでありました。ここに中国は入っていません。日本の輸入量をみますと、全産業での貿易相手国1位の中国からのチョコレート輸入量はアメリカ、オーストラリア、ベルギー・・・などに続いて6位でありました。細かくは数字の羅列となるので列挙を避けますが、総合的にざっくりと読み解けることとしては、「中国のチョコレート一人あたり国内消費量は国際的にかなり低い水準であること」「中国のチョコレート絶対生産数は少なく、国内消費量も輸出量もすくないこと」が言えると思います。つまるところ、中国はチョコレートをあまり生産していないし、また中国人はそれほどチョコレートを食さないということなわけです。
これが「もし中国人がチョコレートを好きになったら?」ということを考えると、次の「マグロ危機」が発生しそうではありませんでしょうか? マグロ危機といえば、・・・・・・・・・・・・・
(次回へ続く・・・)
(中川幸司 アジア経営戦略研究所上席コンサルティング研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年2月14日