東日本大震災から間もなく1年を迎えようとしている。昨年、日本政府は4度補正予算案を発表し、財政支出を拡大した。これは経済の支えとなったが、日本経済が直面している海外のリスク要因も少なくない。日本経済はどのようにすれば正常の軌道へと戻る事ができるのだろうか?東京大学柳川範之教授がこの質問に答えた。
柳川教授によると、海外経済のリスク要因が、2012年の日本経済に大きな影響を及ぼすことになる。特に欧州経済の不確実性が高く、債務危機は簡単には収まりそうにない。これが為替市場と円相場に重大な影響を及ぼし、日本経済にとって巨大な負担となるだろう。需要の新興国へのシフトと、先進国経済の借金体質からの脱却が徐々に進み、世界経済はゆっくりと方向転換を行なっている。そのような状況の中で、金融緩和や財政拡張などの対症療法で目先の問題を解決することは必要だが、同時に構造改革を推し進めていかなければならない。今のうちに企業の生産性を上げ、根治していくべきである。
日本産業の空洞化について、柳川氏は「製造業が海外へ出て行ったあとに短期的に国内の雇用が減るのは避けられないことであるが、多くの実証研究からも明らかなように、中長期的には企業の生産性や業績を向上させていくことで、国内の製造業・サービス業などの第三次産業の発展を促進し、雇用の増加につながる。日産自動車の決算が芳しかったのは、そうした好循環の可能性があることを証明した。もちろん、政府は製造業からサービス業への雇用の流れを促す政策を実施していく必要がある」と指摘した。
復興については、「各方面が皆で被災地の復興を支えていく発想は間違っていない。しかし、この発想は日本全体の経済成長に損失をもたらす可能性があり、被災地の再建にもマイナスとなる。重要なのは税負担を軽減し、被災地以外の企業活動を活性化することで、全体の税収を増やし、被災地再建のバックアップに使うことである」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年3月8日