それから、千葉さんは毎日安置所に行くようになった。葬儀や火葬の準備をする時、いつも死者に語りかける。「寒かったでしょうね。寂しかったでしょうね。でもまもなく家族が迎えに来ますよ。」彼は遺体安置所のスタッフに、遺体の硬くなった四肢をやわらかくするにはどうしたらいいか、ひざまずいて遺体を揉みほぐして遺体があまり曲がっているように見えないようするやり方も教えた。
新井史恵さんは被災者家族だ。当時、大きな悲しみの中で、一時遺体安置所に母親の遺体に対面したとき、母親は全身泥まみれになっていたが、顔だけは泥が落とされていたことに、驚き、慰められたという。
36歳の新井さんは、「私は母の遺体の引き取りに来るのがとても怖かった。母はたった1人で大勢の見知らぬ被災者と一緒に冷たい床の上に横たえられていました。しかし、彼女の穏やかできれいな顔を見たら、私が来る前に誰かが母をきれいにしてくれたことがわかり慰められました。」と語った。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年3月13日