2009年のパリファッションウィークで展示される山本耀司の作品
◆若きデザイナー 君たちの作品は遺産となる
新京報:日本は多くの有名デザイナーを生み出したが、そこから中国人デザイナーが学び取るべきことは?
山本氏:中国人デザイナーは、日本人デザイナーとは全く違う道を進むことができる。日本人デザイナーは、置かれている状況そのものがすでに完成され、先進的なものであるため、新しいものを創作するためには、引き算が必要となる。だが、中国人は足し算を使える。中国人デザイナーは、中国の建築やその他の伝統的美学を融合し、中国式の美しさを加えることで、他にはない華麗なデザインを生み出せれば、非常に大きな成功となるだろう。
新京報:多くの有名ブランドがチャイナカラーデザインを推し出しており、「中国の時代」が来たとも言われているが、これは中国人デザイナーにとって有利な局面?
山本氏:ルイ・ヴィトン、グッチにおける一部のチャイナカラーは一種の流行。デザイナーとして、流行に左右されることは非常に危険なこと。デザイナーは終始自らの信念を貫き、自身の手で創作を行うべき。自身の手で創り出す物を、後世に残す最後の遺産にするつもりで、一歩一歩着実に丁寧に美しい作品を完成させることができれば、それはきっと世界を揺り動かすものとなる。
新京報:山本氏も当時日本からパリへ、今もより多くのデザイナーが海外に出ているが、これをどう見るか。
山本氏:今の若者たちも、やはり当時の私と同じ問題に直面している。まず、日本の百貨店は日本人デザイナーの作品を販売しないし、ブランドショップも彼らの作品を買ってはくれない。若いデザイナーたちがビジネスをしようと思うなら、8~10名のグループでパリやミラノへ行って、合同作品展を開き、オーダーを取らなければならない。今の世界のアパレル卸売りはその構造に問題があり、オーダーを取って商品を出荷すればそれで終わりではなく、商品を陳列してから販売し、その費用を回収しなければならないが、若いデザイナーたちにとってそれはとても難しいことだ。国際展覧会への出展も大スポンサーの支えが必要になる。中国の若いデザイナーも同じような苦境に直面しているのではないか。中国と日本、手を携えて海外の展覧会に出展できるよう、今後は互いに支えあい、学びあい、助け合っていくことが必要だ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年4月1日