文=コラムニスト・陳言
成田空港で出国手続きを行う際、担当者はパスポートに貼付された免税物品購入記録表を回収する。中国人観光客のパスポートには、数枚から数十枚の同記録表が貼り付けられていることが多い。
2012年1−3月の関連統計データが発表された。訪日観光客のうち、韓国が最多の49万3000人に達しており、中国は2位の35万2000人となった。しかし中国人観光客は、高い購買力を維持している。韓国人観光客は人数が最多にも関わらず、日本での消費額は317億円にとどまった。その一方で、中国人観光客の消費額は604億円に達した。
有名ブランドの衣料品、手袋、腕時計等は割安で偽物も少ないが、売れ行きが好調な製品には他に何があるか。20年前であれば、多くの観光客が東京の免税店に押しかけ、カラーテレビや、その他の高級家電を購入していた。当時、海外旅行では商品を1点しか購入できなかった。しかも海外で支払いをし、国内で商品を受け取る必要があった。
近年、日本に対する思い入れが強い人でも、カラーテレビを購入して帰ることはないだろう。関税はもはや問題ではなく、日本の家電も品質が落ちており、日本製を使う必要は必ずしもない。
しかし炊飯ジャーだけは例外だ。中国市場で販売されている炊飯ジャーには、さまざまな種類・価格帯の製品が数多くあるが、最新の炊飯ジャーは日本で購入される。一部の観光客は親戚友人にプレゼントするため、1度に3、4台を購入し、日本の店員を驚かせている。