トヨタ自動車の大西弘致中国本部長はこのほど取材に応じた際に、「本部長として訪中する前、豊田章男社長から二つの妙策を授かった。一つ目は心から中国を好きになり、中国で多くの友人を作ることだ。二つ目は判断しにくい事が生じた場合、中国という国家の立場になり考えることだ」と語った。中国青年報が伝えた。
今年4月に中国本部長に就任した大西氏は、トヨタの中国事業を担当してから1年もたたないうちに、日本企業の生存に関するさまざまな圧力を感じた。釣魚島(尖閣諸島)問題の影響を受け、日本車の販売台数が減少した。トヨタの今年1-11月の中国販売台数は、前年同期比3.3%減となった。大西氏は、「豊田章男社長の二つの提案が脳裏に焼き付いており、中国事業を推進する際に、中国にとって有利な事をするよう常に促している」と述べた。
この「二つの妙策」は、日本企業が中国で発展するための特効薬ではないが、中国勤務経験を持つ豊田章男社長は、中国人が日本人に大して複雑な感情を抱いていることを知っている。トヨタは以前、中国でマーケティングやPRを行う際に、感情面の問題を無視し、中国人の反感を買った。これはトヨタのブランドに影響し、フォルクスワーゲンとの中国事業の競合で、受動的な状態に陥ってしまう。トヨタは今年、米国と日本の販売が回復し、販売ナンバーワンに返り咲く可能性が高い。しかし中国事業の不振は、トヨタにとって最大の「痛み」となっている。
大西氏は中国本部長の就任当初、豊田章男社長から授かった「一つ目の妙策」を用いた。大西氏は、「提携先の一汽集団と広汽集団はトヨタにとって、中国市場でかけがえのない家族であり、トヨタの中国事業発展方針に重要な提案をしてくれる先生でもある」と述べた。「家では両親を頼りにし、外では友人を頼りにする」は、中国の人間関係の哲学だ。かつて独りよがりな態度であったトヨタは、これをすでに肝に銘じている。
トヨタ(中国)にせよ、上述した2社の合弁会社にせよ、公の場では中国側の副総経理が先に紹介され、日本側の総経理が後に紹介される。これは単なる「メンツ」の問題であるが、トヨタが中国事業に対して細やかな気配りをしていることが分かる。日本側が低姿勢になり、中国側の意見に耳を傾け理解しようとすることで、自然と変化が訪れるだろう。