日本の政界が集団的に右傾化し、安倍首相が鳴り物入りで中国包囲網を構築する中、鳩山由紀夫元首相の訪中は意外な感がある。日本国内には、集団的自衛権の行使、平和憲法の改正、核保有等の強硬な言論が満ちており、最も欠けているのは理性的な声だ。野田前首相や安倍首相等の軍国主義者に中日関係の改善を希望することは、まさに出来ない相談である。より多くの理性ある人が立ち上がり発言することで、中日関係にようやく希望が見えてくるのだ。18日付香港紙・大公報が伝えた。
鳩山氏の発言は、久しぶりに聞かれた冷静な声だ。釣魚島(日本名:尖閣諸島)問題について、鳩山氏は双方に主権を巡る係争があることをはっきり認め、日本政府が係争を認めなければ、釣魚島問題は解決できないとしている。歴史問題について、鳩山氏は南京大虐殺のような虐殺が世界各国で再び起きてはならないと強く願い、日本人として責任を負うべきだと主張し、さらに心からの謝罪を表明した。
鳩山氏の声は、日本の多くの右翼政治家にとって、耳に快いものではない。菅義偉官房長官は直ちに、鳩山氏の発言は日本政府の立場と異なり、元首相としての発言に対して非常に失望しており遺憾だと非難した。これは舌鋒鋭く、相手の体面を全く慮らない発言だ。日本の世論も鳩山氏を集中砲火し、鳩山氏の領土問題を認める態度表明は、中国側に対する政治的譲歩になると称した。日本国内の過酷な政治環境・世論環境を、ここからも垣間見ることができる。
実際には、鳩山氏の態度には何の独創性もなく、また中国の立場になり発言しようという過分の望みもなかったはずだ。鳩山氏の発言の全ては、実にはっきりとした歴史であり、両国の指導者が数十年前に至った合意である。現在これらの発言はすべてタブーになり、誰もが避けたがる地雷地帯となった。変わったのは中国ではなく日本だ。何かあるとすぐ中日関係の大局を口にする政治家こそが、中日関係を現在の苦境に陥らせたのだ。