日系家電企業が歩んできた長い暗闇に、ついに一筋の光がさした。円の下落もあり、シャープ、パナソニックともに2012年度第3四半期(10~12月)で短期的上昇を見せた。パナソニックは6.62億ドルの利益を実現、シャープは営業利益が26億円、これはシャープが2011年度第2四半期以来初の黒字となる。だが、日系企業の表面的な改革が今後の衰退の伏線となり、今のいい状態もそれほど長くは続かないとの見方がある。
劇的変化を望めない構造調整
業績は、常に戦略価値の最も有力な証明である。そのため、今回のような場合も、すぐに「シャープが2013年3月期 第3四半期で黒字を実現できたのは、家電や携帯販売の強みによるもので、パナソニックの一連の再起措置も効果てき面だった。」というような見方が出てくる。
だが、家電アナリストの梁振鵬氏は、違う見方をしている。パナソニックは先端コア産業での競争を未だ制限されたままで、全体的状況は不透明である。シャープのほうも、アップル社がシャープ製パネルの購買規模を拡大しつつあるとのプラス要素もあるが、2012年度第3四半期で実現した2850万ドルの営業利益も規模としてはそれほど大きくはなく、ここから業績が一気に好転するとは考えにくい。
円安効果も一時的現象
このところ、日本円の継続的下落が長く深い傷を負った日本企業に大きな転機を与え、業績は回復、株価は上昇、待ちに待った再起の希望の光が射してきたようにも見える。
シャープやパナソニック以外の日本の製造企業でも業績が大幅に伸びている。今年のキャノンの純利益は前年比14%アップ、テレビゲームメーカーの任天堂の純利益は昨年の倍になる見込みだ。
「成也蕭何、敗也蕭何(成功するも失敗するも同一原因の意、「蕭何」は人名)」とはよく言ったもので、2009年以降、日本円高騰という経済環境において、日本の家電企業は大きなダメージを受けてきた。円の高騰は日本の輸出企業の利益を脅かし、日本の輸出製品の競争力を弱め、トヨタや東芝等を含む輸出企業の株価を継続的に下げていった。日本の大企業が海外進出や生産拠点の移転により円高という不利な状況に対応してきたのに対し、中小企業は深刻な生存危機に直面させられたのである。
市場主導権を失った日系企業