奥井禮喜氏:高級紙がない日本の新聞

奥井禮喜氏:高級紙がない日本の新聞。 新聞の質は、記事の制作に際してきちんと普遍的価値を確立しているかどうかである。戦前戦中の新聞の大失態を常に拳々服膺せねばならない。紙を売るのではなく、「質」を売るにはいかにあるべきか、自省してほしい…

タグ: 新聞 記事 評論 問題 社説 価値

発信時間: 2013-03-04 10:07:31 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

文=奥井禮喜

全国紙の発行部数をみると読売996万部、朝日796万部、毎日341万部、日経301万部、産経160万部で合計2,594万部である。地方紙も含めれば大方の家庭に新聞が配達されている。

わが国の新聞は家庭配達という購読者にとって至便な方法が確立・定着している。配達システムが、膨大な新聞購読者を獲得する大きな要因であることは間違いないだろう。

まことに残念なのは、全国紙といわれるものはあるが、quality paper、高級紙がない。いわく、部数が多くなくても理性的で、読者の強い信頼を獲得するに足る、社会的影響力が強い新聞のことである。

もちろん国民各位は高級な気位をお持ちであろう。新聞社もまた高級紙制作の誇りを担って日夜健闘しておられるだろうけれど、提供される「質」について不満なのだから仕方がない。実際、読者の不満は少なくない。

新聞は日日の出来事を記事にする。新聞社として営業上記事の価値は、人々の耳目を集めなければならないから、よい内容でも悪い内容でも誇張される傾向にある。事件・事故の場合が典型である。

しかし、たかだか窃盗かっぱらいの記事であっても、全国紙に掲載されるには、社会現象として、それなりの意味が必要である。当事者には切実でも、世間にあまねく喧伝せねばならないかどうかという視点が必要だ。

身辺雑記はおよそ人の数ほど存在するのであるから、手当たり次第に記事にする意味がないことは当たり前の理屈である。

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