奥井禮喜氏:高級紙がない日本の新聞

奥井禮喜氏:高級紙がない日本の新聞。 新聞の質は、記事の制作に際してきちんと普遍的価値を確立しているかどうかである。戦前戦中の新聞の大失態を常に拳々服膺せねばならない。紙を売るのではなく、「質」を売るにはいかにあるべきか、自省してほしい…

タグ: 新聞 記事 評論 問題 社説 価値

発信時間: 2013-03-04 10:07:31 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

もちろん極め付けの日常茶飯事であっても、問題意識が明確であり、それを掘り下げる作業を丁寧にやることから、事前に気づかなかった価値を発見する場合もあろう。社会面記事からそのような発見が少ないのは遺憾だ。

社会面記事を疎かに考えているのではない。逆におおいに大切に考えているのである。残念ながら事件・事故が消滅することはないが、それは社会全体の真っ当な動きからすればレアケースである。紙面においては、レアケースが日常的であり主流派である。

一犬吠えれば万犬吠える、というようなことにはなるまいが、異常な記事が人々のオツムに尋常な精神を刷り込むわけがないという心棒をきちんと確立しておかねばならない。事件・事故報道は、精緻丁寧に事情を取材してこそ価値が発生するのであって、ただ衆目を集めればよいのではない。

最大の気がかりは、社会面的記事の扱い方法(事件・事故的)が、政治面にしても経済面にしても浸透しているように思えてならない。

たとえばわが国企業が途上国に追い上げられるという記事の流れは、だいたいは、簡単に追いつかれない技術を開発せよとか、もっと技術革新に精を出せというようにパターン化されている。なにも中身がない。

社説がほとんど読まれない。きちんとした主張がないからである。「米歳出削減 チキンレースいつまで」(朝日3/3)、「米財政の混乱を早く収めよ」(日経3/3)などは社説の体裁をなしていない。

同社説ともに何か有益な提案があるわけではない。日経などは「決められない政治を長引かせるな」と、国内政局ばりに米国政治に注文を付ける。注文つけるのが悪いのではないが、米国の財政赤字と経常収支赤字の意味を知っているのであれば、こんな能天気な社説でお茶を濁せられない。

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