昨年9月以降、日本では対中好感度が低下したもの、釣魚島(日本名・尖閣諸島)の「実効支配」強化を訴える声も弱まり、争議の事実を認め対話を求める声が強まっており、日本の世論は理性的な方向に発展している。例えば、1月8日付東京新聞の社説は、「領土問題が存在しないという主張はいまや国際上説得力がない」「外交上の争議を認めるべき」などと主張している。
中国に対する冷静な声は次の3通りに分けられる。
(1)故井上清教授の精神を継承し、歴史的公正な立場に立ち、日本政府は道理がないと言い切る声。例えば、横浜国立大学の村田忠禧名誉教授、慶応義塾大学の大西広教授で、国際法の角度から尖閣領土問題に関する外務省の見解を検討している。村田名誉教授は、「明代以降、様々な中国の地図や文献で釣魚島、黄尾嶼、赤尾嶼を中国領として表記している」と指摘。また、共同通信社記者の岡田充氏は昨年末に出版した著書「尖閣諸島問題~領土ナショナリズムの魔力」で、釣魚島ををめぐる争いは「敵対型ナショナリズム」の舞台を求める石原慎太郎の陰謀であると指摘する。横浜市立大学の矢吹晋名誉教授は著書で、日本政府の誤った立場を鋭く批判。日本では歴史を歪曲する右派の書籍が少し前まで多く店頭に並んでいたが、最近では出版社もこうした声の書籍を出版するようになった。
(2)世界政治の潮流の変化と日本の戦略的利益から考え、日米安全保障条約強化によって中国を牽制するやり方に反対する声。彼らはバランスのとれた対米・対中外交を主張。その典型的な代表的人物が外務省国際情報局元局長の孫崎享氏だ。元駐国連大使の谷口誠氏ら退職した元外交官の中にはこうした意見の人が少なくない。神奈川県元副知事の久保孝雄氏は最近「世界の構造的変化と日本の生きる道」と題する論文を書き、ネット上で広く伝わっている。