文=コラムニスト・中川幸司
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ひと月ほど前、「粉ミルクの中国への輸入が増えている!?」というニュースがありました。新華網によれば、「ドイツ、ニュージーランド、オーストラリア、そして英国へと、最近海外で粉ミルク購入制限が拡大している。英メディアによると、一部スーパーは4月から乳児用粉ミルクの購入を1人2缶までに制限し始めた。店側は購入制限が中国人客を念頭に置いたものだと明言はしていないが、外国メディアはみなその考えに傾いている。「外国産粉ミルクに対する中国の需要は恐ろしいほど大きい」と考えているからだ。」とのことです。
以前も中国においては牛乳にメラミンが混入されていた事件を受けて、日本製の粉ミルクが中国市場で需要が急激に増加したというニュースをみましたが、今回は特になんらかの個別事件に端を発するわけではなく、中国人による海外での粉ミルクの購入増加、つまり、恒常的に海外から中国への海外製粉ミルク輸出が増えていると予想できるだろうという記事であります。
直感的に考えれば、中国内での「食品安全不信」かつ「一般市民所得の増加」によって中国内での粉ミルク需要が相対的低価格の国内産から高価でも安全度の高い海外産に代替的にシフトした結果であり、中国当局の「輸入規制」があろうとなかろうと、正規ルートだけでなく個人輸入のような「抜け穴」を使い商品が海外から中国に流れているわけです。
中国内では、これをうけて乳製品を扱う業界団体が、抜き打ち検査を強化するなど食品安全イメージ向上のために事件後から努力をしているところですが、この「食の安全」というものに対して極めて消費者は敏感に行動するので、一度失った信頼を回復するのは一朝一夕には行かないでしょう。
さてさて、今回のブログですが、せっかくですので、他のメディアなどではあまりない方向からの見方をしてみましょう。「チャイナミルク・まさかの起死回生!?」を扱います。この「食の安全」によって危機感をもった中国の乳製品を扱う企業を、僕はとても興味深くみています。こうした企業が、相当に気合を入れてマーケティングにも力を入れて商品構成を変えてきている現状があります。