日本の野中広務元内閣官房長官は訪中時、1972年の日中国交正常化の際に両国首脳が釣魚島(日本名・尖閣諸島)問題の棚上げで合意していたことを認めた。この発言に日本国内の一部勢力は激しく反応。菅義偉現内閣官房長官は「全く根拠がない」と野中氏を繰り返し批判し、「中国に歓待されて」そのような発言をしたのだと中傷すらした。(文:蘇暁暉・中国国際問題研究所国際戦略研究部副主任。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
日本側のこうした反応は決して偶然ではない。日本の一部政治屋の最近の言動を見ると、歴史の全面的改ざんという意図はすでに明々白々だ。安倍晋三首相は以前、日本の侵略と植民地支配の歴史にお詫びと反省を表明した「河野談話」と「村山談話」の見直しを企んだうえ、「侵略定義未定論」を打ち出した。橋下徹大阪市長にいたっては荒唐無稽な「慰安婦必要論」をぶち上げた。
米国を含む国際社会の圧力を前に、最近日本政府は歴史事実への挑戦をいくらかトーンダウンさせた。だが根本的に言って、日本は釣魚島問題への認識を含め、その誤った立場を決して変えてはいない。安倍氏は最近米誌フォーリン・アフェアーズのインタビューで、「尖閣諸島の議題棚上げ」に日本が同意したことはないとし、日本側が過去棚上げに同意したとの中国側の主張は全くの嘘だとさえ述べた。菅氏は釣魚島の領有権はポツダム宣言とは無関係だと弁解した。領有権はサンフランシスコ講和条約で確定されたし、ポツダム宣言以前から釣魚島は日本の領土だったというのがその理由だ。日中合意を振り返った野中氏に対する今回の非難も、日本が「中国との間に解決を要する領有権問題は存在せず、棚上げすべき問題も存在しない」と依然言い張っていることを示している。