中国でこのほど撤退が噂されている日本車は、依然として先行きは不透明なものの、決して足踏み状態ではなく、むしろ逆境の中で成長を続けている。中国商報が伝えた。
中国では今年に入り、日本車に関する記事がたびたび新聞各紙の第1面を飾った。日本の自動車大手は主力製品をこぞって発表すると同時に、マーケティング戦略やサービス内容を強化し、釣魚島(日本名・尖閣諸島)問題の影響をもろともしない存在感をアピールしている。また業界内でも、高級ブランドの国産化や工場新設などを進めており、巻き返しを狙う日本車の覚悟がうかがえる。
中国の自動車市場には依然として大きな伸び代があることは紛れもない事実だ。しかし拡大を続ける背景にある最も重要な要因はやはり、中日関係が長期的には上向くとする両国自動車企業の経営層の一致した見方だ。これは一切の協力と発展の基盤となるもので、両国の自動車企業の経営層がこうした基盤に対し自信を抱いているのは明らかだ。
■中日関係の見通しを「慎重に楽観視」
日産自動車の高級ブランド「インフィニティ」に続き、ホンダの高級ブランド「アキュラ」も国産計画を発表した。新ブランドの導入以外に、ホンダは6月にも説明会を開き、中国向けに設計したエンジンやトランスミッションなどパワートレーン(伝動機構)3型を発表する見通しだ。ホンダの中国合弁会社「広州本田」の第3工場も近く着工され、今後の生産台数は72万台に達する見込み。
このほか、日産の中国合弁会社「東風日産」の大連新工場の建設が急ピッチで進められている。トヨタ自動車は5月末、中国の民営電池メーカー「湖南省科力遠新能源」(本社・湖南省)と、ハイブリッド車(HV)向け車載電池を生産する合弁会社を設立する。日本の自動車企業は中日関係悪化のあおりを受けながらも、中国市場での発展戦略を断固として推し進めていることが、こうした活発な動きから見て取れる。
市場競争よりも、政治の変数の方が日本車の発展に明らかに影響を与えている。しかし日本の某自動車企業の幹部はこのほど記者の取材に対し、「日中間の摩擦の解消は短期的には難しいが、長期的に見れば両国関係がさらに悪化する可能性は低い」と楽観的な見方を示した。日本の自動車企業が依然として協力関係の継続に自信を抱いている背景には、長期的な先行きに対するこうした楽観的な見方がある。
過去数年間、政治的な要因が両国の経済協力を妨げる障害となったことはない。数年前は、中国は日本最大の貿易相手国で、貿易額は年々過去最高を更新していた。こうした複雑で深い経済関係のもと、「釣魚島海域で軍事衝突が起こることはあっても、戦争に発展することは絶対にない」との推測も説得力を帯びてくる。
現在、日本車の中国での生産台数は400万台を超えている。この数字は年間数百億元の税収と数十万人の雇用を意味する。もし事態が収拾不可能な状況に陥り、日本企業が中国から撤退したとすれば、それは両国にとって致命的な痛手となる。