財務省が今月上旬に発表したデータによると、6月末時点の日本の「国の借金」は1008兆6000億円に達し、日本国民一人当たりが792万円の負債を抱えている計算になる。長期的な景気低迷による税収減、少子高齢化による社会保険料の負担増、政府の公共支出の低効率は、バブル経済以降に国の借金が急増を続けている三つの原因だ。そのため中長期的に見ると、増税は財政負担を軽減し、財政危機の発生を回避する、効果的な選択である。しかし短期的に見ると、消費増税を選択した場合、アベノミクスの政策効果を相殺し、日本経済を停滞の古い道に戻らせることになる。
日本政府は増税を選択する場合、同時に経済構造改革を深化し、一連の成長持続に向けて成長戦略を打ち出し、市場の自信を高める必要がある。しかしこれはまさに、アベノミクスの弱点でもある。市場の反応は、すべてを証明している。内閣府が発表した成長率が、市場予想の3.6%を下回ったことから、データ発表後の日経平均株価は1万3500円を割り込んだ。円相場も上昇し、1ドル=96円に達した。
全体的に見て、現在の日本経済に存在する根本的な問題は、デフレと財政・貿易の「ダブル赤字」といった表面的な問題ではなく、人口や制度などの深いレベルの構造問題である。量的緩和策と公共投資の拡大はドラッグを服用するようなもので、一時的に日本経済を奮い起こすことができるが、日本経済の構造問題を根本から治療することはできない。薬の効き目が切れれば、すべての状況は以前よりも悪化する。アベノミクスが効果を失えば、日本は公共債務危機に陥り、そこから脱却できなくなる。消費増税は、アベノミクスを崩壊させる最後の一撃になる可能性が高い。(筆者:陳子雷 上海対外経貿大学日本経済研究センター主任)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2013年8月20日