南中国海情勢と争議問題について、中国政府の李克強総理は9日、第16回中国・東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議で談話し、「南中国海情勢は全体的に安定を維持している。南中国海に存在する対立も中国とASEANの関係の大局には影響しないし、させるべきでない」と述べた。
李総理は「南中国海の航行は自由で、航行の安全は保障されている。中国は南中国海の航行の自由と安全をアジア地域各国とともに守っていきたい」と強調し、「中国とASEANの関係はすでに成熟期に入るとともに、協力の急速な発展段階に入った。われわれはとげではなく、花をたくさん植え、いつまでも良き隣国、良き友人、良きパートナーでありたい」と述べた。
しかし中国が積極的に各国と協力して南中国海を「平和の海、友情の海、協力の海」にしようと努める一方で、南中国海問題とは何ら関係のない日本の指導者が別の働きかけをしている。日本の安倍晋三首相はアジア太平洋経済協力会議(APEC)や日本・ASEAN首脳会議の場を借りて頻繁に発言し、南中国海問題の「焚き付け役」を演じている。
NHKは7日、APECの首脳会議でインドネシアのバリ島を訪れた安倍首相はベトナムのチュオン・タン・サン国家主席と会談し、南中国海問題について「尖閣諸島(中国名・釣魚島)や南中国海での(中国の)力による現状変更の動きを非常に懸念しているが、日本は冷静かつ、きぜんと対応している。南中国海の問題も、ASEANが一体性を保って臨んでいくことが何よりも重要だ」と述べたと伝えた。
日本の時事通信が伝えたところによると、安倍首相は9日午後、フィリピンのアキノ大統領との会談でもこの問題や立場に触れ、「力による現状変更の動きを深刻に懸念する。国際法に基づいて平和的に解決すべきだ」と強調し、中国をけん制した。大統領は賛意を示したという。