日本に足を踏み入れ街を見渡してみると、清潔で静かなこと以外には、中国とさほど大きな違いは見当たらない。しかし、日本の社会を深く観察してみると多くの「違い」に気づく。中でも「高齢化」はその問題の深刻さがしみじみと感じられる。
統計を見てみると、日本の65歳以上の人口が総人口に占める割合は23.1%にまで達している。中国が2011年時点で9.1%であったのと比べても、日本の高齢者人口の比率の高さが分かる。数で見ても、3000万人以上と決して少なくない。
日本の人口高齢化は非常にシビヤな問題だが、日本は高齢化がもたらす困難を乗り越え、高齢化を「高齢者パワー」に転換しようとしていることは、中国も学ぶべき点である。
先日、私は富岡さんというメディア界の大先輩にお会いした。富岡さんはある大手新聞社の子会社の編集長を務めていた。30年前に会ったときは、富岡さんはまだ会社の経済部長で、50代前半であった。私に経験談を話す彼の姿はユーモアに溢れ大きな志を抱いている人という感じであった。今や富岡さんは私のことも思い出せなくなったようだ。実は5年前に中等度の脳溢血を患い、言葉と歩行能力を失った。その後奥さんは東京郊外の一戸建てを売却し、娘の家の近くに80平米のマンションを買って富岡さんと移り住んだ。入浴や薬を用意など、誰かが富岡さんの身の回りの介護をしなければならない。