中国の毎年400億元以上の乳幼児用粉ミルク市場を前にし、世界粉ミルクブランドが続々と進出する中、明治が撤退を選択した。明治乳業日本本社は12月24日、全面的に中国粉ミルク市場から一時撤退すると表明した。また中国粉ミルク市場の状況変化に基づき、将来的に営業再開の可能性を検討すると発表した。
巨大市場からの敗走
明治は1997年に中国市場に進出したが、10年後の2007年になりようやく明治乳業貿易(上海)有限公司を設立し、中国の乳製品市場に正式に進出した。業界関係者は、「明治のサービス・市場部門は一定期間留められる可能性がある」と指摘した。記者が明治の中国事業部が入居するビルの管理業者から得た情報によると、明治の入居契約期間は2014年12月15日までで、まだ一年以上の時間を残している。
撤退の原因
多くの乳業関係者は、「明治の粉ミルクの品質的特長は、その他の海外ブランドには及びもつかないものだ。例えばDHAやカルシウムの含有量が多く、缶の容器の設計も人にやさしいものだ」と指摘した。毎年二桁台の高度成長を記録し、規模が400億元以上に達する中国市場に対して、明治も期待を寄せていた。明治はかつて、2020年までに海外事業の売上を現在の3倍に相当する1500億円とする計画を打ち出し、そのうち中国・東南アジア・米国が3大優先市場とされていた。
明治の撤退には、どのような原因があるのだろうか。
明治乳業の日本本社は、「中国粉ミルク市場は競争が激しく、生産コストの高騰に伴い、中国市場で安定利益が得られなくなった」と回答した。
普天盛道の雷永軍董事長は、「広東省で先ほどリサーチを実施したところ、明治の粉ミルクは広東省でKAルート(大型チェーン、面積が広く顧客の多い店舗など)を選択していた。このルートは費用が非常に高額であるが、明治の販売量は小規模だ。そのため明治は毎年赤字に陥っており、撤退が遅れるほど赤字が膨らむことになる」と指摘した。