ケネディ駐日米国大使はこのほどNHKのインタビューを拒否した。これはNHK経営委員の百田尚樹氏が、東京裁判と南京大虐殺を公然と否定したからだ。安倍首相が百田氏ら極右分子をNHK経営委員に任命したのは、日本メディアの右傾化をコントロールする一環だ。米国がNHKのインタビューを拒否したのは、メディアを操ろうとする安倍首相に対する一種の警告だ。
安倍首相はこのほど日本メディアへのコントロールを強化しており、任命権を利用するほか、主流民間メディアの役員と会食を繰り返し、微妙な駆け引きを展開している。菅義偉官房長官は言うことを聞かないメディアを、さまざまな手段により婉曲的に批判している。安部首相の政策に反対するコメンテーターに対しては、まず手先を使いメディアが「不公平」と批判し、同じコメンテーターを使い続ければ政府は協力しないとほのめかす。
日本において、すべてのメディアは総務省の指導と管理を受けている。総務相は安倍首相が任命しており、あるメディアを制裁し泣き寝入りさせるのは容易なことだ。次にメディアはいずれも経済の実体である。政府は主な情報資源を把握しており、閣僚に取材を拒否させれば、そのメディアに大きな損失を与えることができる。
戦後の数十年間に渡り、米国の日本メディアに対するコントロールは成功を続けてきた。米国の一言が日本の輿論を沸騰させ、一人の首相に退陣を迫るほどだ。しかしこの状況は、安倍首相の就任後に根本から変化している。安倍首相は国会で、米国主導の東京裁判を疑問視し、侵略に定義はないと発言した。安倍首相はバイデン米副大統領の忠告を無視し、靖国神社参拝を強行した。米国がこれについて「失望」を表明すると、安倍首相は腹心を使い米国政府とオバマ大統領に対して、「共和党の時代に、このように足を引っ掛けられることはなかった」と批判を浴びせている。
米国は最近、安倍首相にとって不利な情報を流し続けている。しかしNHKなどの主要メディアがこれを無視しているため、日本国内ではかつてのような情報拡散の効果が見られない。米国でさえ安倍首相をコントロール出来ないのだから、中国にはどうすることもできないと考える人がいる。このような発想は正しくなく、これはむしろ中国が日本に影響を与えるチャンスであるのだ。安倍首相の歴史否定問題において、中米の態度は完全に一致している。日本に対する直接的なコントロールが弱体化する中でこそ、中国と共に圧力をかけるという米国の需要が生まれる。(筆者:宋文洲 経済評論家、ソフトブレーン株式会社創業者)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2014年2月19日