中国人民解放軍副総参謀長の王冠中中将は6月1日午前、シンガポールのアジア安全保障会議(シャングリラ会合)に出席した際に、「アジアの平和維持における大国の役割」というテーマを巡り演説した。王氏は発言の途中で原稿を読むのを止め、安倍晋三首相とヘーゲル米国防長官が同会議の期間中に、中国を批判したことについて反論し、両氏の演説は中国に対する挑発であると称した。中国日報網が6月2日に伝えた。
王氏によると、本来ならばアジアの平和・安定における中国の主張と実践に触れるだけで、他に何かを言うつもりはなかったという。王氏が原稿の内容から外れたことには、二つの理由があった。まず、中国には「来而不往非礼也」(相手の出方次第でこちらのやりとりを決める)ということわざがある。次に、同会議が対話の集まりである以上、出席者は議論・交流することが可能で、真理は説けば説くほど明らかになるということがあった。
王氏は、「安倍氏とヘーゲル氏の演説の重点は中国に置かれており、これは衆目の一致するところである。違うのは、安倍氏の中国に対する批判は遠回しで、名を挙げずにかするものであったが、ヘーゲル氏は率直かつ直接的で、態度を明確にした点である。私はヘーゲル氏の態度をより評価する、言いたいことがあれば直接言えばいい」と指摘した。
王氏はその後、小野寺五典防衛相との短時間の対話で、「安倍氏の演説は、事実を蔑ろにし中国を批判する内容で、国際関係のルールに背いている。日本は対話を呼びかけながら、ひそかに中国を誹謗中傷してはならない」と述べた。
同日の晩餐会が終了する頃、小野寺氏は王氏に対して、「中国との防衛・安全交渉の回復を希望している」と表明した。王氏は、「これは日本が間違った対中政策を変え、中日関係を改善できるかにかかっている。日本は直ちに間違いを正し、中日関係を良くするべきだ」と語った。
小野寺氏はまた、王氏に対して、「中国と海上連絡メカニズムの構築に関する交渉を再開したい」と述べた。王氏は、「そのような提案があることは了承した。安倍氏は先ほどの演説で、何度も暗に中国を批判した。これらの批判は完全に間違った、事実を無視したもので、国際関係のルールに背いている」と指摘した。
王氏と小野寺氏は5分間の対話で、握手はしなかったという。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2014年6月3日