「日本と中南米の新しい歴史がスタートしたと確信している」安倍晋三首相は3日、中南米5カ国の訪問を終了した際に、外遊の成果をこのように評価した。時事通信社は3日、「中国浸透、巻き返し狙う」と題する記事の中で、「日本の首相は10年ぶりに中南米を訪問した。この10年間、中国の中南米における影響力が拡大を続けた。安倍首相は今回の訪問で、日本と中南米の友好関係を確認した」と報じた。
安倍首相の訪問前に最も注目を集めたのは、日本がブラジルと共同で中国をけん制するという噂だった。しかし2日早朝に発表された両国の共同声明では、中国を暗示している部分は「武力の手段による国際紛争の解決に反対」の一カ所しかなかった。環球時報の記者は3日、本件を巡り共同通信社に問い合わせを行った。同社の関係者は記者に対して、「安倍首相は2日にブラジルで開かれた記者会見でこの話題について取り上げず、記者からも質問がなかった」と述べた。また同情報を提供した「安倍首相の関係者」も、本件について説明を行わなかった。
「中南米の重要性」が、安倍首相の歴訪により日本メディアの注目の焦点になった。3日付の読売新聞は社説の中で、「エネルギー・食料安全は非常に重要な外交の課題であり、積極的に資源の豊富な中南米諸国との関係を強化することには重大な意義がある。中南米の30数カ国は、国連加盟国の2割弱を占めている。国連安保理改革を実現するためには、中南米諸国の支持が不可欠となる。日本は来年秋に開かれる国連安保理非常任理事国選挙の参加を検討しており、安倍首相の今回の歴訪の重要目的は、各国からの支持の獲得だった」と報じた。時事通信社は3日、「日本は移民などにより、昔から中南米諸国と友好関係を維持してきた。しかし近年、日本の指導者の訪問の頻度は、他国を大幅に下回っている。中南米は国連の票田でもある。中国は一貫して、日本の国連安保理入りに反対してきた。中国の中南米における影響力が拡大を続ければ、これまで日本を支持していた国も立場を変える可能性がある」と報じた。安倍首相に同行した日本政府の関係者は、「日本は中南米巻き返しに自信を持っているが、強い経済力を持つ中国の外交攻勢を前にして、日本が存在感を維持するのは容易なことではなくなっている」と述べた。日本メディアはまた、安倍首相が今回の中南米歴訪で、これまで外交の中で展開してきた中国批判の論調を収め、会談の際に「中国と首脳会談ができない状況は残念だ。対話のドアは常にオープンだ」と語り、中国との関係修復を急ぐ姿勢を示したことに注意した。
NHKは、「安倍首相は今回の一連の会談によって、資源確保とインフラ輸出の推進という目標に向かい、各国と経済協力を強化することで合意した。安倍首相はまた、国連安保理改革、気候変動などの国際社会が直面している課題を巡り、各国と調整・対応を強化することで一致した」と伝えた。3日付の読売新聞は、「日本の首脳は過去10年間に渡り中南米を訪問していなかったが、中国はこの間に中南米を資源・食料の収穫地とし、現地で経済の影響力を急速に拡大した。ブラジルを例とすると、中国はその最大の貿易相手国になっており、輸出額は対日輸出の5倍に達している」と報じた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2014年8月4日