消息筋によると、石破茂氏という危険人物がいなければ、安倍晋三首相は政権を安定運営してきた内閣を改造したくなかったという。改造後の安倍政権の基本的な特徴には、実質的な変化がない。
まず、安倍政権の中心的な閣僚と主要な政策にはほとんど変化がない。安倍内閣の18人の閣僚のうち、麻生太郎副首相兼財相、菅義偉官房長官、岸田文雄外相、下村博文文部科学相、甘利明経済再生担当相、公明党推薦の太田昭宏国土交通相の6人が留任となった。これは安倍内閣の人事・財政・外交・教育・TPPなどの主要政策が、これまでの方針を引き継ぐことを意味する。
次に、首相官邸主導の、「政高党低」の政治構造にはほとんど変化がない。安倍首相は就任後、一人で巨大な権力を握っている。重大政策方針は、首相官邸が中心になり制定している。自民党内の、安倍首相をけん制する派閥の力が大きく損なわれている。今回の内閣改造で、官房長官など中心的な閣僚が留任となったほか、安倍首相の政治日程などの要務を担当する3人の官房副長官、安倍首相の主要シンクタンクである5人の首相補佐官のすべてが留任となった。これは安倍首相の、首相官邸主導に対する執着を示している。
それから、安倍政権の強い右翼・保守カラーにはほとんど変化がなく、むしろ強化されたほどだ。留任の閣僚のうち、麻生氏、下村氏らは有名な右翼の政治家だ。自民党政調会長から総務省に就任した高市早苗氏も、毎年必ず靖国神社を参拝している。
新内閣が直面する難題