安倍晋三首相は先ほど国連総会の演説の中で、中国に対する強硬な態度を変え、中国との「良好な関係」の回復を目指すと表明した。中国に強硬な態度をとり、「中国の拡張への抵抗」を宣言していた安倍首相は、なぜ今になり急に態度を変え、中日両国の「戦略的パートナーシップ」の回復を求めるようになったのだろうか?シンガポール華字紙『聯合早報』が伝えた。
その根本的な原因は、国際情勢と日本の国内政治が、安倍首相の思う方向に進んでいないことだ。国内外で課題に直面した安倍首相は、方針転換を余儀なくされており、中日関係の回復を苦境から抜け出す活路にしようとしている。
安倍首相が2012年に再任すると、中米両国は関連ルートを通じて、2006年の初就任時のように、釣魚島(日本名・尖閣諸島)の係争が直面している膠着状態を打破し、中日関係の安定化を図るよう伝えていた。しかし安倍首相は就任後、これに逆行した。中日の領土問題でより強硬になったほか、突如靖国神社を参拝し、中国がアジア太平洋で拡張的な政策をとっていると大げさに批判し、各国を歴訪し対中同盟を構築するといった一連の行為により中国を挑発し、中日の緊張関係をエスカレートさせた。
米国の「戦略のリバランス」の機に乗じ、「一石三鳥」を実現することが、安倍首相の根本的な狙いだ。まず、中日の対立の激化により中米のアジア太平洋における利益の食い違いを形成し、中米関係の前向きな発展を妨害する。次に、中日の対抗という局面を利用し、米国に対してどちら側につくかという戦略的な選択を強いる。それから、中日の緊張情勢を集団的自衛権の行使容認に利用し、国の正常化を全面的に推進するための民意の基礎を固める。
しかし最近の日本が国内外で直面している情勢は、安倍首相の都合のいい計算を狂わせた。まずウクライナ危機の勃発により、G7の一員である日本は米国から強いプレッシャーを受け、対ロ制裁に加わることを余儀なくされた。これにより、プーチン大統領を抱き込み中国をけん制しようとする、安倍首相のすべての取り組みと投資が台無しになった。
次に、米国の2011年以来の「リバランス」戦略は、安倍政権の中国に対する強硬な政策に必要な戦略的支援を提供しているが、オバマ大統領の対中政策には微妙な変化が生じている。オバマ政権はこのほど、中米関係の安定化に向けさまざまな取り組みを進めている。米国も、安倍首相の中国に対する強硬な政策に責任を持ちたくはない。