香港の中国評論通信社は19日、日本の「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」のメンバーが17日に靖国神社を集団で参拝し、日本と周辺国との外交危機を生み出していると伝えた。安倍晋三首相は今回の参拝には参加しなかったが、供え物の奉納という形で自らの立場と態度を示した。
今回の事件発生とその経過は、日本国内の現在の保守的な政治環境と急進的な政治手法と密接に関係している。周知の通り、安倍首相が供え物の奉納という形で参拝するのは今回が初めてではなく、内閣総理大臣として靖国神社に参拝したこともあり、日本と中国や韓国、その他の国との間の外交関係の緊張を生み、緊張は現在まで緩和されていない。それにもかかわらず、安倍首相とその周辺の右翼勢力は、問題の深刻さを真に意識することなく、あの手この手を使って歴史を否定する動きをますます強めている。
安倍首相の動きにははっきりとした目的も垣間見える。一方では、自民党と日本政界の右翼勢力の呼び声に同調することで、こうした政治勢力との協力関係を強化するねらいがある。もう一方では、中国や韓国など周辺国家に与えるイメージにも配慮し、「参拝」という極めて敏感な議題を避けようとする意図もある。安倍首相の動きは、政治的には二面性をはらんだものと言える。
だが指摘しておかなければならないのは、今回の大規模な参拝行為からは、日本の政界の保守的な動向が見て取れるということである。現在の日本の政界に今や「中国がらみでは強硬になる」という態度が蔓延していることは否めない。中国関連の事件や問題が発生すると、その政治性の高さや波及効果の大きさにかかわりなく、すぐに誰かが飛び出して中国を非難したり、責任を一方的に中国に押し付けたりして、解決や挽回の余地を著しく狭めてしまう。
安倍政権はまさにその典型である。安倍首相は中日首脳会談を実現すべきだと散々繰り返しているが、誠意ある態度はまったく見られない。安倍首相やその指導する政府には首脳会談を実現する気が本当にあるのか、一部の日本の経済界の要求に応えてアベノミクス関連政策への支持を取り付けようとしているだけなのではないかとの疑いも頭をもたげる。
改造後の安倍内閣が課題の重点を安全保障問題から経済問題に移したことは間違いない。アベノミクスの各政策をいかに有効に実現し、日本経済の早期の回復と発展をいかに果たすかは、安倍首相と安倍内閣の評価を決定する要素となる。言い換えれば、政治問題で見られたような急進的で軽率な態度を経済問題の処理でも続ければ、安倍政権はつまづき、退陣を余儀なくされる可能性がある。安倍首相の政策には、慎重で着実な思考と戦略が求められている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年10月20日