歴史を振り返ると、「官を促す民」が、両国関係の発展の推進力になっている。中日関係の発展を提唱する際にも、「民」の力を重視しなければならない。中国と比べ、日本では多くの社会組織が取り組みを続けている。例えば言論NPOはこの10年間に渡り毎年中国と協力し、中日の世論調査を実施している。彼らの活動は、中日関係がこのような社会組織による調査と、両国の民意の意思疎通を必要としていることを示している。当然ながら中国も社会の力を育成し、発展させることで、日本社会との対話と交流を進めなければならない。
社会の力は国家の力より大きい。もちろん、この「大」は異なるレベルの問題だ。政治の力が社会に干渉しようとしても、社会は大きすぎるため、政府も隅々まで徹底できない。しかも民間では、歴史問題や領土問題に限らず、どのような問題についても話し合うことができる。歴史や領土とは異なるさまざまな分野において、社会の対話には幅広い空間が残されている。中国はこれらの分野で、中日の民間の信頼を促進できる。歴史問題や領土問題は一夜にして解決できないが、我々は今後の相互信頼関係の強化により、発展の中でこれらの対立を解消することに期待できる。我々は、中日の社会の間に、強い結びつきを形成することが可能だ。日本の多くの環境保護団体が、中国で植樹し砂漠化防止に取り組んでいる。日本にはまた、中国人が発足したボランティア団体があり、被災地を支援している。
歴史・領土問題の膠着状態を打破しがたい今日、我々は首脳ばかりに注目するのではなく、民間と社会に広く目を向けるべきだ。中日の社会の対話と協力は、相互の信頼関係を強化し、中日が共に歩む力を育む。(筆者:劉迪 杏林大学教授)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年10月21日