中国製品の苦しみと迷い
筆者は過去20数年に渡り製造業界で生きてきた。友人の経営者の多くが、製造業に従事している。筆者は彼らの20年間の躍進を目にしてきたが、彼らは今や未曾有の苦しみと迷いを迎えている。
一つ目の苦しみは、価格競争力の低下だ。
国内外の市場で成功した中国製品の武器は、価格競争力だけだった。中国には土地・労働力・税制などの長所があり、さらに環境保護に責任を負う必要はなく、製造コストで巨大な力を形成した。しかし今や、各種コストの上昇により、コストパフォーマンスが低下している。
二つ目の苦しみは、販売網の優勢の崩壊だ。
地場メーカーはマーケティングの本領を発揮し、広い国内で多層的な、ピラミッドのような販売網を構築した。しかしいまやアリババや京東商城などのネット通販サイトが情報網と物流を全面的に再構築した。販売網は徹底的に踏みにじられ、かつての「販売のピラミッド」が一夜にして灰と化した。
三つ目の苦しみは、「変わらなければ死を待つしかなく、変わろうとすれば自殺することになる」というモデルチェンジへの恐怖だ。
「モデルチェンジ・アップグレード」という警鐘が、製造業の中で長年に渡り鳴らされているが、圧倒的多数の関係者は手をこまねいている。近年、スマートハード、3Dプリンター、ロボット、さらには「第四次産業革命」といった輝かしい概念がヒーローのように空から降り立っている。しかし60・70代の経営者は、これらの新しい名詞をよく理解できず、当惑している。
このような状況が続き、この世代の製造業の人々はすでに、引き返すことのできない深淵の縁に立たされている。
しかし那覇空港のターミナルに立ち、山のような、これから運ばれようとしている箱を見ると、筆者は別のことを考えた。