この世に落ち目の産業はない。あるのは、落ち目の企業と人のみだ。規模の拡大から質の向上への移行は、中国の製造業が最後に取り組むべきことだ。
「メイド・イン・ジャパン」の逆襲
藍獅子文化創意有限公司の経営層による年次総会が今年、沖縄で開かれた。筆者は京東商城(ネット通販サイト大手)の年次総会に出席し、1日遅れで沖縄入りした。旅客機が那覇空港に着陸すると、微信(中国版LINE)の友人グループはショッピングの情報で賑わっていた。「免税店で買いまくり、炊飯器を6台も買った人もいる」
日本旅行で炊飯器を交流することが、長い間ブームになっている。数年前、東京都の秋葉原は、炊飯器を手にした中国人客で溢れかえっていた。私はこれを理解できなかった。日本の炊飯器は、それほどすごいのだろうか?筆者は1ヶ月以上前に広東省の美的電器で講演会を開き、美的電器の製品館を見学した。美的電器は中国最大の炊飯器メーカーで、案内してくれたエンジニアの張氏にこの質問をぶつけてみた。
張氏は3秒ほど戸惑い、それから正直に筆者に答えてくれた。
「日本の炊飯器は材質面で多くの革新を実現しており、炊かれた米は粒が立ち、グチャグチャになることはなく、本当に素晴らしい。日本に行く時に、上司からこっそり買ってくるよう頼まれることもある」
「中国メーカーは材質面の問題を解消できないのですか?」
「今は方法がない」
美的電器は1981年創業で、1993年より炊飯器の生産を始めた。美的電器は三洋電機と業務提携し、ファジィジャー炊飯器を導入し、国内市場の先駆者になった。近年になると、市場シェアの逆転により競合関係に微妙な変化が生じ、日本企業は中国企業への技術輸出に慎重になった。「多くの新技術を搭載した製品は、中国企業にその技術を提供せず、製品を輸出しようともしない。炊飯器がそうだ」
つまり中国製品が長年続けてきた、市場によって技術を手にするという後発者の戦略が、すでに効果を失っていることになる。
これは炊飯器ばかりではない。藍獅子文化創意有限公司の役員らの購入リストを見れば、氷山の下に隠された事実を目にすることができる。
多くの人が、ドライヤーを購入した。これらのドライヤーは、ナノイオン技術を搭載しているそうだ。ある女性はその場で試し、「ドライヤーを使った側の髪は手触りが良くなり、これまでと異なる」と述べた。