過激組織「イスラム国」は現地時間1月31日、日本人の人質の後藤健二さんが殺害されたと思しき動画を公開し、日本社会を震撼させた。一部の国民は、安倍晋三首相が今年1月中旬に中東を歴訪した際に、2人の日本人が拘束されていることを知りながら、中東諸国に2億ドルの援助を行うことを発表した際に、わざわざイスラム国について取り上げ刺激したと批判した。「新華網」が伝えた。
【国民の安否を無視】
安倍首相は数日前に衆議院本会議に出席した際に、日本政府は昨年8月と11月に、湯川遥菜さんと後藤健二さんがシリアで失踪したことを確認していたと述べた。
しかし安倍首相は1月18日にエジプトを訪問した際に、イスラム国と戦う国に2億ドルの人道支援を行うことを約束した。
同志社大学の内藤正典教授は、「私は彼(安倍首相)が、2人の国民が拘束されているという事実について考えなかったのではと思う。人質解放を本当に最優先するならば、このような発言をする際により慎重になるべきだった」と指摘した。
内藤教授によると、イスラム国が1月20日に人質を殺害すると脅迫する動画を公開すると、イスラエルを訪問中の安倍首相は即座に記者会見を開きこれを批判したが、記者会見の会場には日本とイスラエルの国旗が同時に掲げられていたという。
内藤教授は、「この画面は中東全体に衝撃をもたらし、日本がイスラエル側に肩入れしているという印象を与えた。安倍首相はそれまで、日本はアラブ諸国とイスラエルの間でバランスのとれた関係を求めると表明していたが、イスラエルを訪問した際に人質事件に関する発言をし、イスラム国をさらに刺激した」と分析した。