だが日本製品はすでに私たちの生活の隅々にまで浸透しており、完全なボイコットは不可能である。日本製品を使うのをやめようと思えば、身分証から携帯電話、固定電話まですべての使用をやめなければならなくなる。第二世代身分証やエレベーター、携帯電話(アップル製品や国産製品であっても)、プログラム制御電話交換機などは日本製の部品なしにはありえないからだ。iPhone5のディスプレイの主要プロバイダーはシャープ、メモリーの主要プロバイダーは東芝やマイクロンメモリジャパン(エルピーダ)、マザーボードやコンデンサーの主要プロバイダーは村田製作所と日東電工である。ボイコットが無理なのは製品だけではない。医療設備の多くが日本から輸入されている以上、病院で医者にかかるのも難しくなる。
米ボーイング社の航空機は1万個余りの部品からなっているが、これらの部品は70以上の国で生産され、最後にシアトルで組み立てられる。つまり経済のグローバル化はすでに現実のものとなり、各国間の経済関係はますます緊密化し、相互依存度はますます高まっているということである。アップルの携帯電話にしても、技術開発は中国で行われていないにしても、多くの部分は中国で生産されている。同様に、ほかの国民が中国製品をボイコットするのも不可能である。消費者にとっては、経済条件が許せば、どの国で作られていても優れた製品を手に入れたいと考えるのは当たり前だ。日本の便座が人気を呼んでいるのもごく自然な現象と言える。