2011年に壊滅的な津波に見舞われた後、類似の自然災害への対応力を高めるため、日本は多額を投じて長さ250キロ、5階建てビルの高さに相当する防波堤の建築に取り組んでいる。日本国内で激しい論争を引き起こしたこの計画について、反対者はこれによる海洋環境の破壊を懸念し、支持者は就職チャンスの増加を期待しているという。
伝えられたところによると、日本はこの防波堤の建設に8200億円を投資する予定である。反対者は、「コンクリートで築かれた防波堤は海洋の生態システムを破壊し、風景をひどく損なうだけでなく、漁業の妨げにもなるに違いない。それに、高い場所に引っ越す予定がある多くの住民にとって、実際の保護的作用はない」と、この計画を非難している。取材を受けた住民の一人は、高さ12.5メートルに達するこのコンクリートの塀は海を眺めるときに視線が遮られ、「見てみると、刑務所の囲いのようだ」と愚痴をこぼした。
一方、この防波堤は不可欠なもので、少なくとも目下で一部の就職チャンスを提供することができると支持者たちは考えている。このようなプロジェクトの矛盾点は、自然災害による破壊を軽減できる一方で、これにより人々の憂患意識が薄れる恐れがあるということにある。津波、暴風雨およびほかの自然災害が頻発する海岸線で、防波堤そのものは危険な存在であると一部のアナリストは分析する。岩沼市の市長も、「われわれがすべきことは、防波堤をより高く築くことではなく、みんなを安全な場所に撤退させることだ」と語った。
また、国連国際防災戦略事務局(UNISDR)のマルガレータ・ワルストロム特別代表は、発展途上国にとってインフラの未整備は壊滅的なことであるが、これらの施設に過度に依存すれば、かえって避難に対して住民たちは消極的な対応になると、自分の意見を述べた。
また、「人間自身は奇跡を創造できるものである。現在の社会は技術を過度に崇拝している。技術に依存する人間は、自分をかえって弱くする傾向がある」と、マルガレータ・ワルストロム特別代表は補足した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年3月25日