世界には軍隊のない国がまだあるのだろうか。
答えは「イエス」である。世界には現在、軍隊のない国家が約30カ国存在する。欧州のアンドラやバチカン、サンマリノ、アフリカのモーリシャスやガンビア、ラテンアメリカのパナマやコスタリカ、オセアニアのナウルやソロモン諸島などである。
これらの国が軍隊を持たない原因は様々である。バチカンやモナコ公国などは、国土面積が小さく、軍隊を持つ必要がない。またカリブのコスタリカなどは、軍事クーデターの発生を防ぐため、自ら軍事武装を解除し、軍隊を再び設けなかった。
第二次世界大戦後の反ファシズム条約の規定によって軍隊が持てない日本のような国もある。日本の憲法9条には、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と明記されている。
またある国は、外部からの侵略を受け、軍隊を廃止された。例えばグレナダとパナマの軍隊は、それぞれ1983年と1989年に米国の侵略を受けて廃止され、その後設立されていない。
軍隊のない国家も国防問題を考慮しているのか。
この答えも「イエス」である。国の大小にかかわらず、国があれば防衛の必要はある。軍隊のないこれらの国が国防問題を解決する方法も様々である。
ある国は戦争で中立原則を貫くことによって国家の保全をはかる。平時は軍隊を持たないが、戦争になると軍隊を設けて国土を防衛する国もある。リヒテンシュタインは1866年の独立以来、一貫して中立を保ち、1868年に軍隊を廃止した。だが憲法の規定に基づき、緊急の状況下では銃器を操ることのできる60歳以下のすべての公民に祖国防衛の義務が課せられている。