日本社会に溶け込めば、多くの日本人が現実生活において、中国人にそれほど偏見を持っていないことが分かる。日本を旅行した多くの中国人は、その文明的かつ礼儀正しいイメージにより、日本人の中国に対する印象を変えた。次々と訪れる中国人観光客は、日本経済のけん引力の一つになっている。
中日両国の相手に対する態度・認識・感情は、あまりにも複雑な歴史的現実に染まっており、「好感」、「反感」という単純な二つのみの選択で考えることはできない。
これについて考える場合、次のいくつかの話が参考になるかもしれない。
鹿児島市は2014年1月に記念碑を建立し、日本の残留孤児を育ててくれた中国の父と母に謝意を表した。中国人は当時、数千人の日本の残留孤児を育て、最も苦しい歳月においても、心を込めて彼らを育てた。1972年の中日国交正常化以降、多くの残留孤児が日本の家族のもとに戻ったが、中国の父と母と連絡を維持している。
早稲田大学ジャーナリズム大学院教授の野中章弘氏は2012年より、日本の教科書には記載されていない歴史の真相を実地調査するため、日本の学生を率いて何度も訪中している。
野中氏は「中国研修の旅」で日本の学生を率いて抗戦遺跡を見学し、慰安婦の生存者を訪ね、大虐殺記念館を見学し、経験者から中国を侵略した日本軍のおぞましき暴行について聞いた。学生たちは聞き終わらぬうちに、沈黙から驚愕、そしてすすり泣きへと変わることが多い。ある女子学生は、「大多数の日本人が知らないが、それも一つの罪だ」と書いている。
野中氏は、現在の中日関係の問題は、相互信頼の不足によるものと考えている。日本の歴史認識・歴史教育では、人々の歴史に対する誤解を解消できず、人々を無知にさせるが、これは相互信頼の不足の主因だ。認識の隔たりを解消しなければ、中日の国民間の誠意ある交流は実現できない。