日本の侵略の歴史に関する問題について首脳が正確な態度を示すことで、国の前向きなイメージをPRし、平和を擁する主流の民意に対して前向きに反応することができる。そのため8月14日に発表された安倍談話に、「侵略」「植民地支配」「反省」「おわび」などのキーワードが盛り込まれたことは、極めて重要なことだった。しかし見識のある人ならば、この談話の誠意が不足しており、是非を混同するあいまいな態度を示していることを見抜いている。
日本の主流メディアと社会の各界は、安倍談話に含まれる論理と考えについて読み解こうとしており、これを批判し疑問視する声を上げている。朝日新聞は社説で、安倍首相は談話の中で言葉を飾り、是非を混同することによって人を騙そうとした結果、安倍談話が何のために、誰のために出されたのか分からなくなっていると指摘した。毎日新聞は、内閣支持率の低下など政権基盤の揺らぎを背景に、安倍談話が「安倍カラー」を抑制したと報じた。安全保障関連法案の審議への影響や連立を組む公明党への配慮などから、談話の大半を歴史認識にさいたという。
多くの人は安倍談話の反省とおわびについて、「心にもないことであり、政策的な狙いがある」と指摘しているが、これは根拠の無い説ではない。談話の準備段階において、安倍政権はキーワードを盛り込むかについて態度を二転三転させていたが、これは一つの問題を示している。安倍首相とシンクタンクはさまざまな場において、談話の内容のキーワードに関する情報を漏らしていた。時には安倍談話と村山談話の違いを強調し、時には村山談話の歴史に対する反省を継承すると表明した。より強硬な内容を発表するため、閣議決定を踏まえず私的見解として談話を発表することを検討したほどだ。安倍談話の発表の翌日、すなわち日本の無条件降伏70周年に、自民党の萩生田光一総裁特別補佐は安倍首相の代わりに靖国神社に玉串料を奉納し、「英霊に対する感激の情と、靖国に対する気持ちに変化がないこと」を表明した。この動きは安倍談話の前後の矛盾を露呈した。
原則的な問題には、中間のグレーゾーンは存在しない。二股をかけるような政治的姿勢は、責任ある態度だろうか?安倍談話の一部の内容は、侵略を否定し謝罪を拒否する政治勢力に明らかに迎合しており、若者をミスリードするような部分も含まれている。厳粛なる態度で向き合うべき歴史問題に、票集めという政治的私心を挟むことができようか。
日本の若い世代の歴史観が、これによってミスリードされることはあるだろうか。日本は平和的発展の道を歩み続けることができるだろうか。日本人は、すでにこれを懸念している。日本政府の解釈改憲による集団的自衛権の行使容認に抗議するデモ行進に参加した人は、「私は自分の子供を人殺しのため戦場に送り込むことも、戦争によって死なせることも絶対に許さない」と言い切った。「学生を再び戦場に送り込んではならない」これは日本人が集団的自衛権の行使に反対する際に何度も掲げたプラカードだ。5人の元首相は先ほど、安倍首相が国民を無視し、日本の立憲主義を破壊していると批判し、安保関連法案の即時撤回を求めた。200人以上の憲法学者が連名で声明文を発表し、安保関連法案が憲法9条に違反していると指摘し、廃案を強く求めた。日本人による安保関連法案に反対するデモ行進が、現在も続けられている。
日本人は侵略の歴史と徹底的に決別した、平和的発展の道を歩み続ける国、歴史を正視し国際社会に溶け込み、世界から尊重される国で生活することを強く願っている。日本政府はこれに対して責任を負い、実質的な行動により国際社会に対して、歴史問題に関する厳粛な姿勢を示し、約束をするべきだ。関連する問題を適切に処理し、アジアの隣国と国際社会から真の信頼を勝ち取るべきだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年8月18日