米国が上述した各国の、安倍談話に対する強い反応に気づいていないはずがない。ましてや談話の発表前、安倍首相の歴史観が明らかにされていたのだからなおさらだ。安倍首相は侵略には定義がないという説を打ち出し、慰安婦の強制など軍国主義の罪を否定し、国内の教科書の戦争の歴史に関する内容を書き換えた。安倍政権は米国の出版業者に対して、教科書の慰安婦に関する内容を書き換えるよう求めた。この件はかつて大騒ぎを起こした。
しかし米国はなぜ安倍首相の行為を見て見ぬふりし、誠意が明らかに欠ける安倍談話に何度も「歓迎」を示すのだろうか。米国は何を考えており、何を「歓迎」しているのだろうか。
米国はまず、日本が米国のため多く負担することを歓迎している。西側諸国の実力が近年相対的に低下しており、南が発展し北が衰退するという流れが形成されている。米国は「唯一の超大国」の地位を維持しているが、オバマ政権は国内の数多くの問題の処理に困り、対外的な「支配力」が弱まっている。一方的に好戦的な姿勢を示すことを控えざるを得ない情勢だ。米国は「アジア太平洋リバランス」戦略を推進し続けているが、やや力不足だ。そのため米国は地域の同盟国に、その責任を分担してもらう必要がある。日本は世界3位の経済国で、アジア太平洋で大きな影響力を持つ国であり、米国が頼みとする主な対象になっている。