自民党総裁選には挑戦者が現れず、現職の首相・自民党総裁の安倍晋三氏が願い通り不戦勝となった。これは不測の事態が生じなければ、安倍首相が2018年まで政権運営を担当することを意味する。安保法案を成立させ総裁選を避けるという、安倍首相の陣営の狙い通りとなった。
不戦勝。これは2018年までの政権運営を目指す野心あふれる安倍首相にとって、一つの願いを叶えたことを意味する。集団的自衛権の行使を容認する安保関連法案の国会成立に、全力を注げるようになったのだ。しかしながらすべての物事には表と裏がある。安倍首相の不戦勝は、決して良いことではない。
安倍首相にとって不戦勝が何を意味するかは、本人もよく知っていることだろう。誰でも始まりは調子が良いが、最後まで続けられるとは限らない。安倍氏が8年間も首相に就任し、任期をうまく締めくくることができるなど、誰が保証できようか。それに安倍首相が自分の意見を押し通そうとし、傍若無人・独断専行になることはよく知られている。安保関連法案がその良い例だ。続投するならば、国民が「退陣」を呼びかける現実的な環境において、健康状態が思わしくない(吐血したとの報道も)安倍首相はこの国民からの強いプレッシャーに耐えられるだろうか?